改訂新版 世界大百科事典 「ブリタニア橋」の意味・わかりやすい解説
ブリタニア橋 (ブリタニアきょう)
Britannia Bridge
イギリス,ウェールズのメナイ海峡に架かる鉄道橋。1850年完成。R.スティーブンソンの設計で,鉄の技術に詳しいW.フェアベアンが実験に,数学者のホジキンソンEaton Hodgkinson(1789-1861)が理論解析に協力した。錬鉄の板で組み立てた長方形断面の箱桁の内部を,あたかもトンネルのように列車が通るという特異な橋である。ただし箱桁そのものは剛性に富む力学的に優れた構造で,1世紀を経た第2次世界大戦後各国で盛んに用いられるようになった。本橋の橋脚上には重厚な不必要と見える石積みの塔が立っているが,これは架設時に桁をつり橋のようにケーブルでつる必要があるかもしれないと設計者が考えていたためといわれる。近年この橋が火災に遭い,耐荷力に危惧を生じたため,下側からアーチで補強された。
執筆者:伊藤 学
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報