日本独自の砂鉄製錬法である和鉄製造法によってもつくられていたが,主としてヨーロッパやアメリカのパドル炉でつくられていた鉄。錬鉄中には鉱滓(こうさい)含有量が多いのが特徴であり,その量は3~4%に達している。錬鉄は鋼製造の場合より低い温度で半溶融状でつくるから純度が高い。錬鉄の成分の一例を示せば(スウェーデンのダンネモラDannemora社製),炭素0.05%,ケイ素0.037%,マンガン0.108%,リン0.012%,硫黄0.006%程度である。錬鉄は粘り強く衝撃および繰返し荷重に対し抵抗力が強く,耐食性が大であり,鎖などの材料に好んで使用されていた。しかし現代の製鋼技術の発展に押されて,和鉄製造法はもちろん,パドル法もまったくその影をひそめた。
執筆者:雀部 高雄
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…銅やブロンズは鋳造して使われることのほうが多いが,カイロ博物館にあるペピ1世の等身大の銅像の胴部分や,前1世紀の〈バターシーの楯〉と呼ばれるケルトのブロンズ製楯は鍛造である。鉄の鍛造(鍛鉄wrought iron)は最も広く行われたが,銅,ブロンズ,金,銀に比べると,美術・工芸品に使われるよりも多くは農具,武器あるいは日常品や道具に作られてきた。しかし中にはケルト文化における剣のように,武器とはいえ,鍛金による別の金属の溶接(鍛接)と象嵌(ぞうがん)とによって美しく装飾を施されたものも多い。…
…鋼と銑鉄(または鋳鉄)の区別は炭素濃度と,その鍛延性,可鋳性に依存している。また半溶融状態で製造された場合,焼入性の有無により錬鋼および錬鉄と分けて呼ぶことがある。しかし,これらの区別は必ずしも明確ではなく,共存する他元素の種類,濃度によっても変化する。…
…かろうじて鉄鉱石に含まれる脈石を1200℃前後の溶融スラグにして鉄から不十分ながら分離することができた。こうして製造されたものが錬鉄(ルッペ,ブルーム)であった。こうした錬鉄の製造が西アジア,ヨーロッパ,アフリカの製鉄で,そこでは15,16世紀ころまで続いたのであった。…
※「錬鉄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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