プランテーション制(読み)プランテーションせい(その他表記)plantation system

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プランテーション制」の意味・わかりやすい解説

プランテーション制
プランテーションせい
plantation system

大農園制あるいは栽植植民地制と訳し,広義には資本主義諸国が植民地や半植民地で経営した大規模栽培の農園制度をいう。植民地となった熱帯,亜熱帯地方に多く,先住民や奴隷の安価な労働力に立脚した前近代的な大農園で,広大な土地で多数の労働力を使って,一,二の商品作物を大量生産し,これを資本主義的市場で販売する生産の仕組みである。プランテーション内には所有者,監督の家,事務所などを中心に,その周囲に労働者の小屋が建てられ,1個のプランテーションはあたかも1個の社会的・経済的単位を形成する。綿花,コーヒー,ゴム農園などが多い。アメリカの場合はおもに南部の大規模農場制をさし北部のプランテーションは農場面積も比較的小さく,所有者と雇用労働者によって耕された。南部のプランテーションの面積はしばしば何千,何万 haに達し,作物もタバコ,綿花,米,サトウキビなど亜熱帯性の単一作物が主であり,労働力には南北戦争まで主として多数の黒人奴隷が用いられていた。南北戦争前は南部農業経済の中核であったが,戦後は奴隷制廃止とともに,その多くが次第に細かく分けられて小作人制度に変った。

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