プリオピテクス(その他表記)Pliopithecus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プリオピテクス」の意味・わかりやすい解説

プリオピテクス
Pliopithecus

新第三紀中新世後期から鮮新世初期にかけて生息していたと思われる化石霊長類。1837年にエドゥアール・A.I.H.ラルテによってフランスで発見され,P.ゲルベイによってプリオピテクス・アンティクウス P. antiquus と名づけられ,その後ヨーロッパ各地で発見されている。テナガザルギボン)によく似ていて,体はやや小型であるが,犬歯はよく発達している。現生テナガザルの直接の祖先であると考えられている。さらにプリオピテクスの祖先と考えられる化石が 1910年に M.シュロッサーによってエジプトの古第三紀漸新世の地層から発見され,プロプリオピテクスと名づけられた。この化石はさらに小さく犬歯もあまり発達していない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プリオピテクス」の意味・わかりやすい解説

プリオピテクス
ぷりおぴてくす
Pliopithecus

化石霊長類の一つ。1837年、ラルテE. Lartet(1801―71)によりフランスで発見されて以来、ヨーロッパ各地から出土しており、いくつかの種に分けられているが、いずれも断片的な化石にすぎない。第三紀中新世後期から鮮新世前期に属する。テナガザルの祖先とみなされている。

[香原志勢]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のプリオピテクスの言及

【化石類人猿】より

…化石類人猿は,分類学的には現存の大型類人猿であるゴリラ,チンパンジー,オランウータンとともに類人猿科Pongidaeに含まれており,テナガザル科やヒト科といっしょにヒト上科としてまとめられている。現在までに知られている化石から判断して,漸新世の中期ごろ(約3000万年前)にはすでに,テナガザル系統のプリオピテクス類Pliopithecinaeと類人猿系統は分岐していたらしい。この後者の化石類人猿は,中新世の中期ごろまでにある程度放散をとげ,特徴もかなりはっきりしてくる。…

【類人猿】より

…ヒトと類人猿との間には,後者の犬歯は強大で歯列を抜き,また上あごの第2切歯と犬歯間,下あごの犬歯と第1小臼歯(しようきゆうし)間に歯隙がある点,前者だけが直立2足歩行を行う点などに相違を認めることができる。 もっとも古い類人猿は始新世末期のアンフィピテクスAmphipithecusとされ,それに続く漸新世にはエジプトピテクスAegyptopithecusが,また中新世にはドリオピテクスDryopithecusやテナガザルの祖先と考えられるプリオピテクスPliopithecusが知られている。また最近の研究結果からすると,ヒトと現生のアフリカの類人猿との分岐は鮮新世とされている。…

【霊長類】より

…漸新世は霊長類化石の乏しい時代であるが,エジプトのファユウムでは多彩な化石が出土しており,その一つ一つは原始原猿類と真猿類をつなぐ重要な意味をもつものである。ショウジョウ科のエジプトピテクスAegyptopithecus,オレオピテクス科OreopithecidaeのアピジウムApidiumとパラピテクスParapithecus,ヒト上科に入ることはまちがいないとされるエオロピテクスAeolopithecus,オリゴピテクスOligopithecus,プロプリオピテクスPropliopithecusなどである。またアルゼンチンで最初のオマキザル,ドリコケブスDolichocebusが発見されている。…

※「プリオピテクス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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