漸新世(読み)ゼンシンセイ(英語表記)Oligocene Epoch

デジタル大辞泉 「漸新世」の意味・読み・例文・類語

ぜんしん‐せい【漸新世】

地質時代区分の一。古第三紀を3分した場合の最後時代。3800万年前から2400万年前まで。

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精選版 日本国語大辞典 「漸新世」の意味・読み・例文・類語

ぜんしん‐せい【漸新世】

  1. 〘 名詞 〙 地質時代の時代区分一つ新生代、古第三紀の最後の時代。有孔虫斧足類が栄え、哺乳動物被子植物発達が著しい。また、日本列島には大規模な断層運動が起こった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「漸新世」の意味・わかりやすい解説

漸新世
ぜんしんせい
Oligocene Epoch

地質時代の年代区分の一つで,新生代に属する古第三紀を三分した際の最後の。1854年 E.バイリヒが命名。約 3390万年前から約 2303万年前の期間。チャールズ・ライエルの百分率法区分では貝化石中の現世種が 10~15%のものを漸新世とした。2期に区分される。漸新世の前~中期アルプスの著しい褶曲が形成された時期にあたる。全地球的に温暖な時期。動物界では海生動物で有孔虫類貝類が特徴的である。貨幣石ヌムリテス)がこの時代の末期に急減し,ミオジプシナ後半に出現する。始新世に出そろった霊長類を含む有胎盤陸生動物が引き続き発展した。デスモスチルス類が後半に出現した。植物はジュラ紀にすでに出現した被子植物が繁栄した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「漸新世」の意味・わかりやすい解説

漸新世
ぜんしんせい
Oligocene

地質時代の時代区分の一つで、新生代の古第三紀を三つに分けたときの最後の時期。およそ3390万年前から2303万年前までの時代をいう。漸新世に形成された地層を漸新統という。気候はしだいに寒冷化した。著しい海退期にあたり、地層の分布が狭い。この時代の後半にはヒマラヤアルプス山脈で激しい造山運動が始まり、その後の激しい隆起で現在のような山脈ができた。動物界では現在と共通する種はまだきわめて少ない。

[山口寿之 2015年8月19日]

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百科事典マイペディア 「漸新世」の意味・わかりやすい解説

漸新世【ぜんしんせい】

古第三紀を3分した場合の最後の地質時代名。3540万〜2330万年前。ライエルが第三紀を区分した時はなかったが,後にバイリヒがマインツ盆地を模式地として命名。
→関連項目第三紀バルキテリウムブロントテリウムマストドンメソヒップス

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改訂新版 世界大百科事典 「漸新世」の意味・わかりやすい解説

漸新世 (ぜんしんせい)
Oligocene

地質時代の区分の一つ。新生代第三紀の中ごろ,約3800万年前から2500万年前までの時代。この時代は前の始新世の海進期に続く海退期で,世界中で地層の欠如している地域が多い。日本でも西南日本の太平洋岸を除いては,小区域に分布するだけである。気候は現在程度か,現在よりやや温暖。この時代の中ごろから,それまで広い海域であったアルプス・ヒマラヤ地帯に陸地が現れ,その後の著しい隆起の前駆をなしている。
地質時代
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世界大百科事典(旧版)内の漸新世の言及

【古第三紀】より

…この時代は大型有孔虫のヌンムライト(貨幣石)の化石が多いため,フランスなどでは貨幣石紀とよぶ。古第三紀は古いほうから,暁新世,始新世,漸新世に三分され,暁新世と始新世の境界は5500万年前,始新世と漸新世の境界は3800万年前とされる。古第三紀は原始哺乳類の時代で,現在みられる哺乳類の多くのグループの祖先型が出現した。…

※「漸新世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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