改訂新版 世界大百科事典 「ベニング」の意味・わかりやすい解説
ベニング
Simon Bening
生没年:1483か84-1561
フランドルの細密画家。ヘントに生まれ,1508年ブリュージュの書籍業組合に親方として入会。父アレクサンダーAlexander B.(?-1519)と共に,ブリュージュで大規模な写本工房を営む。ヨーロッパ各地の聖職者や富裕な平信徒の注文に応じて,豪華な色彩で聖務日課書や時禱書の全ページまたは欄外余白に細密画(ミニアチュール)を描き,ブリュージュの写本工房の活動をヨーロッパ中に知らせた。代表的写本は《ヘネシーの時禱書》(ブリュッセル),《グリマーニの聖務日課書》(共同制作,ベネチア),《ゴルフの書》(ロンドン)など。ほかに板絵や自画像も残る。ベニングの作品は,ネーデルラント旅行中のデューラーに感銘を与え,またブリューゲルら16世紀後半のネーデルラントの画家たちにも影響を及ぼした。
執筆者:森 洋子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報