ホセ(読み)ほせ(英語表記)Francisco Sionil Jose

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホセ」の意味・わかりやすい解説

ホセ
ほせ
Francisco Sionil Jose
(1924―2022)

フィリピンジャーナリスト、小説家。英語による執筆活動のほか、書店経営、学術文芸書籍出版、国際ペンクラブ・フィリピン支部設立などの文化的業績により、1980年ラモン・マグサイサイ賞を受賞。フィリピンにおける社会派の代表的作家の一人として、多彩な執筆活動を展開した。代表作として「ロサレス物語」五部作があげられる。これは、1880年代から1970年代初頭まで約90年間のフィリピン史を背景に、ロサレスという町を舞台にした連作として書かれたもので、『仮面の群れ』(1962)、『木』(1978)、『弟よ、わが処刑者よ』(1979)、『ポーオン』(1984)、『民衆』(1984)の5作である。いずれも道徳的規律と社会正義の追求を主題としており、同時に現代フィリピン社会の寓話(ぐうわ)化を試みている。短編集には『ワイワヤ・他』(1980)、長編小説に『移民者』(1993)、『罪』(1995)など。1999年には評論集『我らフィリピン人――我々の社会道徳における病巣、歴史的遺産』を発表した。

[山下美知子・菅家健一]

『山本まつよ訳『仮面の群れ』(1984・めこん)』『山本まつよ訳『民衆』上・下(1991・めこん)』

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