マラッカ海峡問題(読み)マラッカかいきょうもんだい(英語表記)Malacca Straits Problems

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マラッカ海峡問題」の意味・わかりやすい解説

マラッカ海峡問題
マラッカかいきょうもんだい
Malacca Straits Problems

マラッカ海峡通航をめぐる国際問題。マラッカ海峡は古くから国際海峡として自由通航が認められてきたが,1971年 11月マレーシア,インドネシアは,(1) マラッカ海峡に領海 12カイリを適用する,(2) 同海峡を国際水路とみなさない,(3) 安全,汚染防止のため 20万t以上のタンカー航行を制限するとの共同声明を出した。このため,この海峡の利用に強い関心をいだくソ連,アメリカ,日本などの海運大国と沿岸国との間の論争となった。 75年1月の『祥和丸』座礁,石油流出事故に際し沿岸3ヵ国は急ぎ「マラッカ・シンガポール海峡の航行安全,海洋汚染対策評議会」を設置,77年2月の3国外相会議で航行安全,航路分離,深喫水船とその航路,航行安全施設,水先案内人,スピード制限,油濁処理の7項目について規制する協定 (マニラ協定) に調印,81年5月に規制は有効となった。 93年1月には,スマトラ島北端沖で発生したタンカー同士の衝突事故を契機に「通航税」構想が表面化,日本など海運諸国の懸念と反発を招いた。同海峡の代替水路としてはインドネシア列島のロンボク海峡があるが,航海に3日 (20万t級タンカーで9万ドル強の運行費) 多く要するという。

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