モウコウマ(読み)もうこうま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モウコウマ」の意味・わかりやすい解説

モウコウマ
もうこうま / 蒙古馬

哺乳(ほにゅう)綱奇蹄(きてい)目ウマ科の動物。同科の1種ウマの1品種。モウコノウマ(プシバルスキーウマ)直系の子孫で、遊牧民の汎用(はんよう)馬であり、粗食に耐え持久力に富む。極東諸国に広がり、東は朝鮮半島から日本、南は東南アジア諸国一帯に分布した。頭はやや大きく、あごはよく発達し、目は小さく耳は短く直立する。頸(くび)は短く厚い。胸は深く背腰は短く、鬐甲(きこう)は低い。尻(しり)は傾斜して短いが、四肢はじょうぶで骨太く、筋腱(きんけん)がよく発達し、ひづめも堅牢(けんろう)である。たてがみ、前がみ、尾毛は密生して長く、粗野な感じを与える。毛色は、青毛、葦毛(あしげ)、鹿毛(かげ)が多く、体高は1.23~1.42メートルで、性質は穏やかで従順である。飼育される地域によりいくつかの系統があり、サラブレッドやオルロフ速歩馬で改良されたハイラルウマ、アラブの血液を混じたサンペーズウマ、さらにアラブに近似するイリーウマ、純粋に維持されてきたウジュムルチンウマなどがある。乗用、駄用、軽輓(けいばん)用のウマとして利用されている。

[加納康彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のモウコウマの言及

【ウマ(馬)】より

…ユーラシアやアフリカでは,小さな個体群となって今日生きのびているにすぎない。ウマの家畜化は新石器時代以降で,日本では縄文前期末のものがもっとも古く,プシバルスキーウマ(モウコウマ)の系統の小型のものとされ,移入されたものであろう。日本固有のものは,旧石器時代のオナジャーonager系統のものが化石として各地から知られているが,家畜化との間には数万年の隔りがある。…

※「モウコウマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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