日本大百科全書(ニッポニカ) 「モウコノウマ」の意味・わかりやすい解説
モウコノウマ
もうこのうま / 蒙古野馬
Przewalski horse
Mongolian wild horse
[学] Equus caballus przewalskii
哺乳(ほにゅう)綱奇蹄(きてい)目ウマ科の動物。プシバルスキーウマともいう。中央アジアの草原に広く分布していたが、20世紀初頭には中国とモンゴルの国境地域に少数が残るだけとなった。1980年代以降は野生のものの生存は確認されていない。体高1.2~1.46メートル、体長2.2~2.8メートル。体色は黄灰色から赤黄褐色を帯びるものまであり、肩から前方は濃色である。冬季の体毛は5~8センチメートルにもなる。家畜のウマの原種とも考えられる。本種は、1879年にロシアの探検家プルジェバリスキー(プシバルスキー)により発見され、1899年から動物園で飼われるようになった。日本では1981年(昭和56)に渡来し、東京都の多摩動物公園で飼われたのが初めてである。1999年末現在、世界で1590頭が飼育されているが、これらはすべて動物園生まれである。なお、1992年以降モンゴルの草原に野生復帰させる計画が進められており、2000年末現在、モンゴルのフスタイ国立公園Hustai National Parkには122頭のモウコノウマが生活している。
[祖谷勝紀]
『今泉吉典監修『世界の動物 分類と飼育4 奇蹄目・管歯目・ハイラックス目・海牛目』(1984・東京動物園協会)』▽『朝日新聞日曜版新どうぶつ記取材班著『新どうぶつ記 朝日新聞日曜版2』(1989・朝日新聞社)』