改訂新版 世界大百科事典 「プシバルスキーウマ」の意味・わかりやすい解説
プシバルスキーウマ
Przewalski's wild horse
Equus ferus przewalskii
プルジェワリスキーウマ,モウコノウマ(蒙古野馬)ともいう。奇蹄目ウマ科の哺乳類。中央アジアの草原にかつて広く分布した野生ウマで,一部の家畜ウマの祖先型と考えられる。19世紀以降生息地の破壊と狩猟によって急激に姿を消し,現在ではモンゴルのタンシ・シャラ・ヌル山脈にわずかの群れが生き残るのみとなった。たてがみが,長さ15~20cmの堅い剛毛からなり,直立するのが特徴。体色は赤みの強い黄色あるいは茶色。体長220~280cm,肩高120~146cm,尾長92~111cm,体重200~300kg。ふつう10頭以下の小集団で生活するといわれる。日中は砂漠で過ごし,日が暮れると草地に現れて,草を食べ,水を飲む。しかし,近年では絶滅寸前と思われ,1~2頭を見たという目撃例がわずかにあるにすぎない。1926年以来モンゴル人民共和国政府によって保護されてきたが,効果があがっていない。19世紀に絶滅したターパンに近縁。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報