モスクワタルトゥ学派(読み)モスクワタルトゥがくは

改訂新版 世界大百科事典 「モスクワタルトゥ学派」の意味・わかりやすい解説

モスクワ・タルトゥ学派 (モスクワタルトゥがくは)

ロシアで1960年前後より記号学を展開している集団。構造言語学や情報理論の発達,ロシア・フォルマリズムの再評価などを背景として,モスクワタルトゥの学者たちがエストニアのカアリクで一堂に会した第1回夏期研修会(1964)をきっかけとして,タルトゥ大学紀要《記号体系論集》をおもな発表の場としていく。当初,タルトゥ学派とも呼ばれていたゆえんである。その理論的特徴は,宗教神話フォークロア,芸術,文学などを,言語を基礎とした〈第2次モデル化体系〉として位置づけている点にある。代表的人物としては,モスクワでは神話,文学,映画のイワーノフVyacheslav Vsevolodvich Ivanov(1929- ),神話,文学のトポローフVladimir Nikolaevich Toporov(1928-2005),神話,文学,イコン学のウスペンスキーBoris Andreevich Uspenskii(1937- ),タルトゥでは文学,映画のロートマンらがあげられる。70年ころより,それまでの宗教,神話などを別々に対象とした〈個別記号学〉と並んで,第2次モデル化体系の総体を体系としてとらえる〈文化の記号学〉の樹立をめざした作業も精力的に進められている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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