日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロートマン」の意味・わかりやすい解説
ロートマン
ろーとまん
Юрий Михайлович Лотман/Yuriy Mihaylovich Lotman
(1922―1993)
ロシアの文学研究者、記号学者。1963年以来タルトゥ大学教授。1950年代にはラジーシチェフ、カラムジンらをはじめとする18、19世紀の文学史をおもな研究対象としていたが、1960年代以降はなによりもまず記号学の「モスクワ・タルトゥ派」の重鎮の一人として活躍した。当初は『構造詩学講義』(1964)をはじめ、文学を記号学的に研究したものを中心にしつつ、映画、演劇、美術なども扱っていた。しかし1970年前後からは、文化という統一体を問題とし、またその統一体のなかで文学や映画など個々の記号体系をも研究していこうとする「文化の記号学」や、ロシア史の再検討を主目的とする「歴史記号論」に比重を移していった。
[桑野 隆 2018年8月21日]
『ユーリー・M・ロトマン著、磯谷孝訳『文学理論と構造主義』(1978・勁草書房)』▽『Yu・ロトマン著、磯谷孝編訳『文学と文化記号論』(1979・岩波書店)』▽『ユーリー・ミハイロヴィチ・ロートマン著、桑野隆・望月哲男・渡辺雅司訳『ロシア貴族』(1997・筑摩書房)』