モービー・ディック(その他表記)Moby Dick; or, the Whale

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モービー・ディック」の意味・わかりやすい解説

モービー・ディック
Moby Dick; or, the Whale

アメリカの小説家ハーマン・メルビルの代表作。 1851年刊。巨大な白鯨モービー・ディック片足を奪われたエイハブ船長の復讐を軸として,随所に鯨の博物学や捕鯨業の博大な知識を挿入し,作者の捕鯨船員としての経験をもとにした自伝的な要素を含みながら,善と悪,神と人間の対立の壮大なドラマを展開,精神の深淵を映し出したきわめて象徴的な作品。出版当時にはまったく理解されず,作者の晩年には忘れ去られていたが,20世紀に入って真価が認められ,世界文学の傑作と評価される。

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世界大百科事典(旧版)内のモービー・ディックの言及

【白鯨】より

…陸上の生活に絶望したイシュマエルは,南海の原住民クイークエグとともに捕鯨船ピークオド号に乗り組む。船長エーハブCaptain Ahabは,自分の片足を嚙み取った白い鯨モービー・ディックこそこの世のあらゆる悪の化身だと信じ,復讐を誓っている。一等運転士スターバックは,理性と信仰の立場からエーハブに反対するが,彼の強烈なエゴの前には無力である。…

※「モービー・ディック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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