ヤガランデ(英語表記)jaguarundi
Felis yagouaroundi

改訂新版 世界大百科事典 「ヤガランデ」の意味・わかりやすい解説

ヤガランデ
jaguarundi
Felis yagouaroundi

食肉目ネコ科の哺乳類。姿や習性が大型のイタチ類に似たヤマネコジャガランディともいう。北アメリカのアリゾナテキサスの南部から南アメリカのアルゼンチン北部にかけ分布する。体長55~77cm,尾長33~60cm,体重4.5~9kg。体は細長く,四肢が短く,尾が比較的長い。頭は小さく扁平で,耳は小さく丸い。体色には2色相があり,さび色を帯びた赤色型と灰色型である。草原森林の周縁部,茂みの深いやぶ地などにすみ,水辺を好む。朝と夕刻に狩りをし,他の多くのヤマネコよりも夜行性の度合は低い。木登りは巧みだが,地上生で,鳥類アグーチネズミなどの小哺乳類を主食とする。敵に追われると水中に逃げ込むことがあるといわれるが,習性などは詳しくは知られていない。熱帯では一年中繁殖し,特別な繁殖期はないようだが,メキシコなどでは子が3月と8月に見つかっている。しかし1頭の雌が1年に2回出産するのかどうかは不明である。妊娠期間は63~70日,1産2~4子を産む。
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世界大百科事典(旧版)内のヤガランデの言及

【ネコ(猫)】より

…【村下 重夫】。。…

【ネコ(猫)】より


[形態と機能]
 現生の種の体の大きさは変化に富み,最小のものは南アフリカのカラハリ砂漠付近の乾燥地帯に生息するクロアシネコFelis nigripesで,体長33~50cm,尾長15~20cm,体重1.5~2.75kgにすぎないが,最大のものはアジアに分布するトラPanthera tigrisで,なかでもシベリア南東部や中国東北部に生息する亜種のシベリアトラ(チョウセントラ)P.t.altaicaは大きく,体長2.8m,尾長95cm,体重306kgに達する。体色も変異が著しく,灰色のコロコロ(パンパスキャット)Felis colocolo,灰褐色のジャングルキャットF.chaus,褐色のマライヤマネコF.planiceps,金色をおびた褐色のアフリカゴールデンキャットF.aurata,赤褐色のヤガランデF.yagouaroundiまであり,白色型のライオンP.leoや黒色型のヒョウ(クロヒョウ)P.pardusなども知られている。褐色や黒色の斑紋をもつものが多く,トラのような縞模様,ジャガーP.oncaなどのような梅花状の大きな斑紋,チーターAcinonyx jubatusなどのような黒点があり,それぞれまったく別のもののように見えるが,黒点がつながって縞模様や梅花状斑紋が形成されたものである。…

※「ヤガランデ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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