ヤルン川(読み)ヤルンがわ(英語表記)gya' lu gtsang po; Yarlung Zangbo jiang

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤルン川」の意味・わかりやすい解説

ヤルン川
ヤルンがわ
gya' lu gtsang po; Yarlung Zangbo jiang

中国語ではヤールーツァンポー (雅魯蔵布) 江。中国西部,チベット (西蔵) 自治区南部を流れる川。ブラマプトラ川の上流にあたる。自治区の南西部に源を発し,南のヒマラヤ山脈と北のカンティセ (岡底斯) 山脈,ニェンチェンタンラ (念青唐古拉) 山脈の間を東に流れ,ニンティ (林芝) 北東方で南に折れてヒマラヤ山脈の東端を横断し,インドに流入する。チベット高原最大の川で,上流のタムチョクカンバプ川 (馬泉河) も合せて全長 1787km,流域面積は 24万 km2。河谷は大部分が標高 4000m以下で,北方からの寒気がさえぎられるとともに,谷沿いにインド洋側から湿気がもたらされるために,自治区で最も農業の発達した穀倉地帯である。ハダカムギ,丸ダイコンのほかコムギ,水稲トウモロコシ作付けが広がっている。ニンティ付近は小汽船が航行し,中流部のチュシュ (曲水) -ツェタン (沢当) は皮筏を通じる。支流を含めると 100に近い水力発電所が建設されているが,包蔵水力は莫大で,東端の湾曲点だけでも 5000万 kWをこえるといわれる。

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