田や畑に農作物を植え付けて栽培すること。作付けは土地を利用して作物を生産する農業の出発点である。農家は自分の経営する耕地に,いかなる種類の作物を,いかなる順序と様式(単作・間作・混作など)で作付けるかを,耕地面積,働き手の数,生産物の価格などの諸条件をも考慮に入れて決定する。こうして決められた土地利用の体系を〈作付け体系〉という。一般に作付け体系は,経済的に有利な作物を基幹として,地力維持・危険分散などを考慮して,それを補完する作物を組み合わせて構成される。作付け体系は個々の農家が独自に決めるものであるが,自然的立地条件や社会経済的条件が共通であるために,それぞれの地域や時代を特徴づける典型的な作付け体系が成立するのが普通である。たとえば岩手県北の一戸町では,1960年ころは〈キャベツ,バレイショ-青刈りデントコーン-ダイズ〉の体系であったが,80年ころには野菜を主とした〈レタス-短根ニンジン-スイートコーン〉が多くなり,また同時代に同県軽米(かるまい)町では〈ヒエ-ムギ-ダイズ(間作)〉から,〈タバコ-ムギ-飼料用カブ,ソバ〉へと変化している。
農業の歴史についての記述などの中でしばしば用いられている〈作付け方式〉は,作付け体系と地力維持方式とを総合した土地利用の歴史的な発展段階を表す区分として用いられることが多い。代田(だいでん)式(開拓した土地に無肥料で作物を栽培し,地力が消耗するとそこを放棄してしまう最も原始的な作付け方式),主穀式(畑に穀物だけを作付け,地力回復のために3年に1回休閑する三圃(さんぽ)式などのような作付け方式。主として古代から中世のヨーロッパなどで行われた),輪栽式(ムギ類とビート,クローバーなどとを1年交替で作付ける方式。18~19世紀ヨーロッパで行われた),自由式(作付け順序に規則性がなく,市場の価格変化に対応して自由に作物を選択して作付ける方式。もっとも集約化の進んだ段階での方式といわれる)などがそれである。また,年間の作付け頻度による一毛作,二毛作などという区分や,地力維持・生育障害回避を考慮した作付け順序としての輪作と,それに対する連作という分け方もある。
執筆者:塩谷 哲夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
耕地に作物を植え付けること。種子を直接耕地に播(ま)き付ける場合と、苗床などほかの場所で育てた苗を植え付ける場合とがある。同じ耕地に毎年同じ作物を作付けすることを連作、数種の作物を一定の順序で周期的に作付けすることを輪作とよぶ。また、耕地に1年間に1回だけ作付けすることを一毛作、水稲のあとにムギを播くように異なった作物を2回作付けすることを二毛作という。同一作物を1年に2回作付けする場合は二期作とよぶ。
作付けの様式は、原始的には数年の作付け後に放棄して他の土地を開墾して作付ける代田法が行われ、やがて永続的な作付けに変わった。この場合、大部分に穀物を作付けるものを主穀(しゅこく)式、三分してその一つを休閑し、これを順繰りに交替する三圃(さんぽ)式などが行われ、休閑地に牧草を入れる改良三圃式へと発展した。やがて穀物作と禾穀(かこく)物以外の作物とを交替に1年おきに作付ける輪栽式が18世紀にイギリスに生まれた。以来さまざまな作付け様式がとられるが、市場を対象とした都市近郊園芸地帯などでは自由式(随意作)がとられている。
[星川清親]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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