( Tibet ) 中国南西部の自治区。アジア中央部の高原地帯にあり、東西を中国西辺とパミール、南北をヒマラヤと崑崙(こんろん)の二大山脈に囲まれたチベット族の居住地。チベット族は古来、氐(てい)・羌(きょう)の名で知られ、中国西辺に居住していたが、七世紀初めにソンツェンガンポが、最初の統一王朝の吐蕃(とばん)を創設、中国やインドの文物を受容して独自の文化を発展させた。ラマ教の形成とともに、ダライ‐ラマとパンチェン‐ラマが出現して東西チベットを二分し、両者による政教一致の支配体制が確立したが、一八世紀中ごろに清朝の宗主権下に置かれた。第二次大戦後、自治権を獲得したが、のちに反中国的暴動を起こして、ダライ‐ラマ一四世はインドに亡命、一九六五年チベット自治区となった。区都はラサ。蔵。