ユニバレ(読み)ゆにばれ

知恵蔵 「ユニバレ」の解説

ユニバレ

着ている服が「ユニクロ」であることがバレてしまうこと。大勢の消費者が持っているユニクロを、自分も着ているのが恥ずかしい、という意味合いを暗に含んでいる。背景には、ユニクロ商品の堅調な売れ行きや、幅広い年齢層への普及がある。ユニクロは2000年、起毛素材の防寒着「フリース」で大ヒットを飛ばして以来、着々と売り上げを伸長。ここ数年アイテム数を増やし、さらなる消費者の取り込みを図っている。
「ユニバレ」という言葉が話題になり始めたのは、09年初め。ファッショントレンドを取り上げるブログ「Elastic」で「ユニバレは避けたいですか?」という記事が掲載され、注目の的になった。記事には133ものコメントが寄せられ、ユニバレについて賛否両論が起こった。
この時期、ユニバレがここまで話題になった理由の一つには、08年11月、ユニクロを展開するアパレル企業「ファーストリテイリング」が、前年同月比32.2%増という過去最高の月間売上高を達成したことがあげられる。続く12月にも、前年同月比10.3%増をたたき出した。寒い日が多かったため、冬物衣料が好調だったのが原因だが、中でも高性能保温下着「ヒートテック」の人気はすさまじく、そのシーズンだけで2000万枚を販売し、品切れを起こす店舗が続出した。
商品が売れるということは、それだけユニクロを着ている人が巷に増えるということ。友人知人から、道行く他人までもがユニクロを着ていてもおかしくない。ユニバレはそのような状況の中から生まれた言葉だが、他人が自分と全く同じデザインのユニクロを身につけている「ユニ被(かぶ)り」という略語も、ユニバレに先駆けて誕生している。ユニバレより恥ずかしい、イヤだ、とする意見が多数派である。
ちなみに、多くの消費者は、ユニ被り、ユニバレを防ぐために「表に出ないインナーはユニクロ。表に出るアウター古着や他ブランド」という使い分けをしており、低価格なユニクロを自分のファッションに巧みに取り入れている。

(高野朋美 フリーライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報