フリース(読み)ふりーす(英語表記)Jacob Friedrich Fries

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フリース」の意味・わかりやすい解説

フリース
Fries, Jakob Friedrich

[生]1773.8.23. ザクセン,バルビ
[没]1843.8.10. イェナ
ドイツ新カント派に属する哲学者。フリース学派の祖。少時モラビア教団の影響を受け,のち数学,自然科学,哲学を学び,1816年イェナ大学理論哲学教授。カントに傾倒し,その分析的,叙述的,方法論的側面を強調,ラインホルド,フィヒテシェリングヘーゲルなど当代の思弁的,体系的観念論やドイツ・ロマン主義に反対。政治的には,カントの帰結として人間の尊厳を重んじ,リベラルな立場に立って立憲政治を要求し,ドイツ統一を唱え,学生運動などに積極的に参与した。主著に"Handbuch der praktischen Philosohie" (1818~32) ,"Die mathematische Naturphilosophie" (22) ,"System der Metaphysik" (24) がある。

フリース
Fries, John

[生]1750頃.ペンシルバニア,モントゴメリ
[没]1818.2. ペンシルバニア,バックス
1798年アメリカのペンシルバニア州で起ったドイツ系移民の反乱指導者。巡回競売人,民兵大尉であった彼は,同年連邦財産税に反対しドイツ系移民を率いて反乱を起し,徴税人を追放し,連邦刑務所の囚人を解放したが,翌 99年軍隊によって鎮圧され逮捕された。裁判死刑を宣告されたが,J.アダムズ大統領により赦免された。

フリース
Vries, Adriaan de

[生]1545/1546. ハーグ
[没]1626.12.15. プラハ
オランダ彫刻家イタリアフィレンツェジャンボローニャに学び,後期マニエリスムを代表する彫刻家として,おもにプラハで活躍。代表作品はアウクスブルク噴水メルクリウスヘラクレス』 (1596~1602) 。

フリース
Vries, Hans Vredeman de

[生]1527. レーウワルデン
[没]1604/1623
オランダの建築家,画家,装飾美術家。フランドル,オランダ,北ドイツで活躍。オランダにルネサンスを紹介し,家具,工芸などの図版集を出版 (1555,63,66) ,ヨーロッパ各地に影響を与えた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フリース」の意味・わかりやすい解説

フリース
ふりーす
Jacob Friedrich Fries
(1773―1843)

ドイツの哲学者。1805年ハイデルベルク大学教授、1816年イエナ大学教授となったが、革新的な全ドイツ学生連盟の学生たちが焚書(ふんしょ)をして気勢をあげたワルトブルクの祭典に出席したかどで、1817年政府から休職処分を受け、1825年ようやく復職した。その哲学はカントの批判哲学とヤコービの信仰哲学を継ぐもので、同時代のヘーゲルを終始無視したが、ヘーゲルもまたフリースを浅薄な感情哲学者であるとして、徹底的に攻撃した。

[宇都宮芳明 2015年3月19日]

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