ユリイカ(文芸雑誌)(読み)ゆりいか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユリイカ(文芸雑誌)」の意味・わかりやすい解説

ユリイカ(文芸雑誌)
ゆりいか

詩と詩論を中心とした総合文芸雑誌。第一次、1956年(昭和31)10月~61年2月。全53冊。編集者、伊達得夫(だてとくお)。書肆(しょし)ユリイカ発行。第二次、1967年7月創刊、現在に至る。編集者、清水康雄(やすお)(1932―99)、三浦雅士(まさし)(1946― )ほか。青土社発行。誌名はアルキメデスの、Eureka(ワレ発見セリ)に由来する。「戦後詩人の積極的な発言の場」として創刊。シュルレアリスムダダイズム、フェデリコ・ガルシア・ロルカパステルナーク、放送詩劇、詩とマス・コミュニケーションなど、多彩な特集で読者を拡大。新人賞を設け風山瑕生(かせい)(1927― )らを育成するなど、戦後詩の発展に公器的な役割を果たした。第二次の編集基調は、詩は、おもに年刊現代詩の実験』(1972~86)で特集。月刊は詩的遺産の再検討や、海外の新思潮を積極的に紹介。言語美学、精神医学、ニュー・サイエンスの問題領域を照射。文化哲学や文明批評的視野から、詩人や知識階層に鮮烈な知的衝撃を与えて注目される。その後、1986年12月発行の『現代詩の実験1987』以降、同誌は刊行されておらず、以上の区分けは明確ではなくなった。弟妹誌に『現代思想』(1973年創刊)、『イマーゴ』(1990~96)があり、新しい知識風土を開拓している。

[千葉宣一]

『伊達得夫著『詩人たち――ユリイカ抄』(1971・日本エディタースクール出版部)』『長谷川郁夫著『われ発見せり――書肆ユリイカ・伊達得夫』(1992・書肆山田)』

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