日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルービンシュタイン」の意味・わかりやすい解説
ルービンシュタイン
るーびんしゅたいん
Artur Rubinstein
(1887―1982)
ポーランド出身のアメリカのピアノ奏者。20世紀を代表する大家の1人。ベルリンで学び、1900年モーツァルトのピアノ協奏曲をヨアヒムの指揮で弾きベルリンにデビュー、成功を収めた。06年アメリカに楽旅、以後、独奏者として欧米各国で華やかに活動、35年(昭和10)初来日した。39年アメリカ滞在中に第二次世界大戦勃発(ぼっぱつ)、そのままアメリカにとどまり、46年に市民権を得た。戦後もニューヨークとパリを本拠に精力的に演奏活動を続行、74年ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクールを創設、76年ロンドン公演を最後に引退、ジュネーブに没した。若いころは技巧家とみられていたが、年とともに造型力を強め、表現も多彩かつ洗練されたものになり、至高の境地に達した演奏家と評された。ショパンを中心に、ロシア音楽、スペイン音楽に独自の芸風を示し、ブラームス、ベートーベンにも定評があった。
[岩井宏之]
『木村博江訳『ルービンシュタイン自伝――神に愛されたピアニスト』全二冊(1984・共同通信社)』