改訂新版 世界大百科事典 「一端子対回路」の意味・わかりやすい解説
一端子対回路 (いちたんしついかいろ)
one port circuit
電気回路中の二つの節点に着目し,この節点対を通じてこの回路と外部との間で授受される電流と,節点間の電圧とを主要な変数と考えたとき,この回路を二端子回路または一端子対回路と呼ぶ。回路が一端子対であるか否かは,例えば線形であるか否か,時変か不変かなどの分類と独立であるから,時間的に変化する非線形な一端子対回路などを考えることができる。しかしとくに回路が時間的に不変でかつ線形である場合には,一端子対回路の端子対に角周波数ωの正弦波電流を定常的に流したとき,端子対における電圧は正弦波となり,その角周波数は不変に保たれる。このとき端子対における電圧の電流に対する振幅比と位相差とをそれぞれ絶対値および偏角にする複素数を考え,この一端子対回路のインピーダンスZ(jω)と呼ぶ(jは虚数単位で,j2=-1)。一端子対回路はL,C,Rなどの集中定数素子の自然な拡張であり,もっとも基本的な回路形式の一つである。
執筆者:岸 源也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報