いっ‐ちく【一竹】
〘名〙
①
雅楽で、笙
(しょう)を主として一本ずつ旋律的に吹くこと。和声的に吹く、合竹
(あいたけ)に対する。
②
律管の
一種。
象牙(ぞうげ)製、または竹製の、長さ約三寸(約九・一センチメートル)の一本の管で、
一方に三個、他方に一個の指穴があり、その
開閉によって十二律の各音を出すことができるもの。四穴
(しけつ)。
※
言継卿記‐永祿一二年(1569)二月二七日「昨日一竹四穴落之間、早旦長橋局、
台所等へ罷向尋
レ之無
レ之。無念々々」
※
源平盛衰記(14C前)一「よくよく見れば毛
(もう)しゅうなり〈略〉南台の竹を召、中に籠て清水寺の側に埋れたり。〈略〉毛しゅう一竹が塚と云は是也」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の一竹の言及
【雅楽】より
…笙はおもに管絃で使われ,〈合竹(あいたけ∥がつちく)〉という重音奏法に特徴がある。催馬楽,朗詠で用いるときには〈一竹(いつちく)〉または〈一本(一管)吹き〉といって,単音旋律を奏する。〈弾きもの〉のうち箏(そう)と琵琶は管絃,催馬楽で使われ(《輪台(りんだい)》《青海波》を除く舞楽では用いない),アクセントの効いた独特の音型で旋律線のリズム感を強調する。…
【伽陀】より
…伽陀にはしばしば雅楽の管楽器の伴奏が付される。これを付ケ物と称し,声明の旋律をそのままなぞって吹き,笙も一竹(いつちく)(一本吹き)で吹く。漢語讃には,楽器の伴奏はない。…
【四穴】より
…日本の調律器具の一種。一竹(いつちく)ともいう。箏を調弦するときに用いられる調子笛の一種で,18世紀前期ごろの[三橋(みつはし)検校]の創案ともいわれる。…
※「一竹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」