三五要録(読み)さんごようろく

精選版 日本国語大辞典 「三五要録」の意味・読み・例文・類語

さんごようろくサンゴエウロク【三五要録】

  1. ( 「三五」はその長さが三尺五寸あるところから琵琶をいう ) 雅楽の琵琶の古い譜本。編者は妙音院太政大臣藤原師長(もろなが)。抄録したものに、「三五要略」「三五抄録」がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三五要録」の意味・わかりやすい解説

三五要録
さんごようろく

平安時代末の雅楽の琵琶譜藤原師長著。写本 12巻,活字本はない。完成は師長が太政大臣になった治承1 (1177) 年以降。内容は案譜法,調子品,催馬楽 (さいばら) ,唐楽高麗楽 (こまがく) など。楽譜のほかに音楽理論や楽曲解説などの記述が豊富で,音楽学にとって貴重な資料。本書を抜抄したものに『三五要略』『三五詳録』がある。なお『三五中録』は藤原孝時の著。

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世界大百科事典(旧版)内の三五要録の言及

【琵琶】より

…楽琵琶の技法としては,1本の弦だけを弾ずる〈一撥(ひとつばち)〉,複数弦をポロロンと弾ずる分散重音の〈搔撥(かくばち)〉,撥の方向を通常と反対にする〈返し撥〉,左手の指で弦を打ち,すぐに軽くはじく〈弛す(はずす)〉など,後世の琵琶楽の基本となるものがほぼそろっている。合奏用だけでなく琵琶独奏曲の輸入もわずかにあったらしく,《流泉》《啄木(たくぼく)》《揚真操(ようしんそう)》の秘伝3曲が藤原師長(もろなが)の《三五要録》に収められているので,林謙三(1899‐1976)により復元が試みられた。声楽と琵琶との結びつきは雅楽との関連でもいくつかの様相を示し,後代の声楽中心の琵琶楽を暗示するものがあった。…

※「三五要録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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