改訂新版 世界大百科事典 「三国間貿易」の意味・わかりやすい解説
三国間貿易 (さんごくかんぼうえき)
intermediary trade
cross trade
貿易商社が在外支店を通じて第三国間で行う貿易取引で,仲介貿易ともいう。たとえばある日本商社のシカゴ支店が売買,保証,債務決済といった貿易責任の当事者となってアメリカからインドネシアへ小麦を輸出し,アメリカへインドネシアの衣料品を輸入したりする場合がこれにあたる。日本の総合商社の行う三国間貿易が最近注目されるのは,それが在外子会社や支店を通じて集められる情報を積極的に活用する取引形態だからである。従来から取引のあったアメリカ市場で供給過剰な石油化学製品を品薄な東南アジア諸国に輸出したり,日本と東南アジア諸国との合弁会社で生産した製品を西ヨーロッパに輸出する等はその例である。国際間の需給ギャップを調整し,貿易取引を円滑化する点は評価される。しかし一方では,貿易当事国の業者が貿易仲介業務を行う機会をうばう可能性もあり,反感をかう場合もある。
執筆者:佐々波 楊子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報