三大差別(読み)さんだいさべつ(その他表記)Sān dà chà bié

改訂新版 世界大百科事典 「三大差別」の意味・わかりやすい解説

三大差別 (さんだいさべつ)
Sān dà chà bié

現代中国において,都市と農村,労働者と農民,精神労働と肉体労働とのあいだに存在する差別を呼ぶ。マルクスは1844年の《共産党宣言》の中で,都市と農村との対立を解消するという任務は労働者階級が積極的に取り組むべき課題であると述べた。それ以後,この対立こそ後2者の対立の基礎となっていると考えられ,その克服共産主義者の任務の一つとして取り組まれてきた。レーニンスターリンは,農村を機械化し,農民を労働者に変えれば,大都市集中を放置しておいても,この対立は解消に向かうと考えた。しかし,毛沢東は大都市集中を排除しないかぎり,対立は激化すると考えた。1960年代後半の文化大革命期に,約3000万人の都市青少年を農村に送ったのはこの考えからである。また,都市では職を準備できないという経済条件も存在した。しかし,この試みは失敗した。だが,20世紀の末には第三世界各国とも,大都市への異常な人口集中が予想される。この状況下では毛沢東の三大差別解消論は見直されるであろう。
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