…蔵王は密教の仏尊だが当時すでに日本の山岳信仰と習合し神祇化されていたのである。院政期,上皇はじめ公家貴族の参詣で脚光をあびた熊野は早玉宮・結宮を合して両所権現,家津御子を入れて熊野三所権現と称し,眷属神である五所王子・四所宮を合して十二所権現とも呼んだ。加賀白山では奈良朝初め泰澄により霊場が開かれ,その主神を白山妙理権現と称し,伊豆箱根では同じころ僧満願が僧形・俗形・女形の神体を感得して三所権現と称し社にまつり走湯権現ともいわれ,日光山では勝道が平安朝に滝尾権現を感得し,日吉山王でも大宮・二宮・八王子・客人・十禅師・三宮・大行事等多数の祭神に一々権現号を付し,醍醐寺の鎮守清滝明神は密教の善女竜王にほかならないが,権現の名称で親しまれていた。…
…創建は850年(嘉祥3)と伝えるが,戸隠山を霊山とする山岳信仰に基づき,古くより修験の道場とされた。奥社,中社,宝光社の祭神の本地をそれぞれ聖観音,釈迦牟尼仏,将軍地蔵といい,奥社を奥院または本院,中社を中院または富岡院,宝光社を宝光院または福岡院と称し,この3社を戸隠権現,三所権現とよんだ。別当寺の顕光寺は俗に戸隠三千坊といわれ,隆盛をきわめた。…
※「三所権現」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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