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那智 ナチ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

那智
なち

和歌山県南東部、東牟婁(ひがしむろ)郡那智勝浦(かつうら)町の那智川流域を占める旧那智町の範囲をいう。もとは中世那智山の社領とされる那智荘(しょう)に起源し、近世は那智荘12村のうち市野々(いちのの)、井関(いぜき)、川関(かわぜき)、浜(はま)ノ宮(みや)、天満(てんま)、勝浦の6村を範囲とする。那智川流域に限るとすれば、6村のうち天満、勝浦の2村を除いた範囲となる。那智川上流の市野々には広大な那智山が含まれるが、那智山は山岳名であるとともに、この地に鎮座する神仏混合の那智権現(ごんげん)(熊野(くまの)那智大社)の山号でもあった。山岳名としても那智山という山頂はなく、那智川源流一帯の山群をさし、広くは大雲取山(おおくもとりやま)(966メートル)、烏帽子(えぼし)山(909メートル)、妙法山(みょうほうざん)(749メートル)などを含み、狭義には熊野那智大社の社叢(しゃそう)(那智原始林として国指定天然記念物)とその周辺山地をさす。那智川は大雲取越の舟見峠に発し、「四十八滝」といわれる多くの急湍(きゅうたん)をなして流下するが、その一の滝が那智滝で、神滝として那智権現立地の根拠とされる。明治の神仏分離以後、那智大社と青岸渡寺(せいがんとじ)(西国(さいごく)三十三所第1番札所)が並立する。7月14日の那智大社の例祭は那智の火祭として知られる。かつて山内には26の坊舎があったが、現在では尊勝院と実方(じっぽう)院跡の庭が大社の社前に残るだけである。那智山からスカイラインが通じる妙法山には女人高野(にょにんこうや)といわれる阿弥陀(あみだ)寺がある。山麓(さんろく)に古くからの銅鉱山(1973年閉山)があったため那智川にはいまも魚類が生息しない。那智川河口の浜ノ宮には王子社の大神社(おおみわのやしろ)と並んで、渡海僧の墓のある補陀洛山寺(ふだらくさんじ)がある。[小池洋一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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