改訂新版 世界大百科事典 「三時祭」の意味・わかりやすい解説
三時祭 (さんじさい)
古来伊勢神宮において行われる神嘗祭(かんなめさい)と6月,12月に行われる月次祭(つきなみのまつり)の3度の祭りのこと。三節祭(さんせつさい),三度御祭などとも称する。神宮の祭儀の中で最も由緒深く重要なもの。祭りに臨んでは,前月の晦日に大祓(おおはらえ)を行い,さらに奉仕者一人一人の罪穢の有無を判定する御卜(琴卜)の儀がある。その根本は,年3度,由貴大御饌(ゆきのおおみけ)を供進することにあり,まず神田にできた稲の初穂を抜穂にして,御稲御倉に納め置き,その年の神嘗祭(9月,現在は10月),次いで12月,翌年の6月の月次祭に夕暁(よいあかとき)の2度にわたって大御饌を奉る。なかでも神嘗祭が最も重んぜられた。斎宮制度のあった時代には,斎宮が必ず参向し奉仕した。また,朝廷からは奉幣があった。神嘗祭における勅使の奉幣は,古くから例幣といい,宮中の重要な年中行事とされた。ただし,奉幣の儀は中世以来久しく廃絶したが,1872年(明治5)に再興された。
執筆者:茂木 貞純
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報