改訂新版 世界大百科事典 「三礼図」の意味・わかりやすい解説
三礼図 (さんらいず)
Sān lǐ tú
中国,宋の聶崇義(せつすうぎ)の撰。20巻。礼(れい)の経典である《儀礼(ぎらい)》《周礼(しゆらい)》《礼記(らいき)》の3書は,本文だけを読んでも理解困難な部分が多いところから,その中に出る衣冠や用具,施設などを図に描いたもの。その際,鄭玄(じようげん)らの著した6種の旧図を用いたと称するが,鄭玄の旧図の存在などについては疑問がある。この書物の編纂は五代の末年に宮廷の礼制を整える仕事から始まり,宋代に入って完成したあと,その図は国子監の壁にも描かれたという。書中に描く礼器の図が出土遺物と合致せぬことについては宋代にすでにその指摘があるが,古代の礼制の全般が図化されている点で便利な書物である。《通志堂経解》に収めるテキストが優れ,また和刻本もある。
執筆者:小南 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報