朝日日本歴史人物事典 「上垣守国」の解説
上垣守国
生年:宝暦3(1753)
江戸中・後期の蚕種商人。但馬国養父郡西谷村(兵庫県大屋町)の農家に生まれる。18歳以後,毎年のように奥州などに蚕種の仕入れに出掛け,自らも蚕種製造を行った。享和2(1802)年に著した『養蚕秘録』は最も代表的な江戸時代の養蚕書である。これは和漢の古典や農書類を引き,また各地の養蚕技術を紹介しつつ,養蚕に関する幅広い知見をはじめてまとめた点に特徴があり,のちの養蚕書に大きな影響を与えた。村の庄屋になり,学問の教授や養蚕技術の指導も行い,また蚕種業によって富を成したというように,生涯は名声に包まれている。生年は宝暦1年説もある。<参考文献>井上善治郎「『養蚕秘録』解題」(『日本農書全集』35巻)
(松村敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報