上垣守国(読み)うえがき・もりくに

朝日日本歴史人物事典 「上垣守国」の解説

上垣守国

没年:文化5.8.19(1808.10.8)
生年:宝暦3(1753)
江戸中・後期蚕種商人。但馬養父郡西谷村(兵庫県大屋町)の農家に生まれる。18歳以後,毎年のように奥州などに蚕種の仕入れ出掛け,自らも蚕種製造を行った。享和2(1802)年に著した『養蚕秘録』は最も代表的な江戸時代の養蚕書である。これは和漢古典や農書類を引き,また各地の養蚕技術を紹介しつつ,養蚕に関する幅広い知見をはじめてまとめた点に特徴があり,のちの養蚕書に大きな影響を与えた。村の庄屋になり,学問の教授や養蚕技術の指導も行い,また蚕種業によって富を成したというように,生涯は名声に包まれている。生年は宝暦1年説もある。<参考文献>井上善治郎「『養蚕秘録』解題」(『日本農書全集』35巻)

(松村敏)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「上垣守国」の解説

上垣守国 うえがき-もりくに

1753-1808 江戸時代中期-後期の養蚕家
宝暦3年生まれ。但馬(たじま)養父郡(やぶぐん)蔵垣村(兵庫県大屋町)の庄屋。各地の養蚕業を視察し,奥州種の蚕を改良して但馬種をつくりだす。享和3年養蚕,製糸の技法を記述した絵入りの「養蚕秘録」をあらわした。文化5年8月15日死去。56歳。通称は伊兵衛。号は仙栄堂。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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