上布野村(読み)かみふのむら

日本歴史地名大系 「上布野村」の解説

上布野村
かみふのむら

[現在地名]布野村上布野

横谷よこたに村の南に位置し、出雲へ越える雲石路に沿う南北に細長い峡村。村のほぼ中央に布野宿がある。古来、山陰山陽を結ぶ一要路にあたり、「出雲国風土記」にいう三坂みさか越は、出雲国赤名あかな(現島根県飯石郡赤来町)よりこの上布野への道筋とみられる。南に連接する下布野村と併せて「和名抄」の三次みよし布努ふぬ郷にあてられる。

康正二年造内裏段銭并国役引付に三貫五八二文が「三吉大郎殿備後国布野郷段銭」とあり、中世この地方は三次の三吉氏に属していた。天文年間(一五三二―五五)三吉氏が出雲側より侵入した尼子軍を迎え討った布野合戦のことは、「陰徳太平記」などに伝えられ、村内に山崎やまさき古戦場がある。弘治三年(一五五七)頃の毛利元就自筆書状(毛利家文書)に「又唯今三吉致高者、入君七百貫・布野七百貫・廻神三百貫 千七百貫知行之由候」とあり、前後の文章からこの頃布野七〇〇貫の地が三吉致高の隠居分となっていたことがわかる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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