日本大百科全書(ニッポニカ) 「布野」の意味・わかりやすい解説
布野
ふの
広島県中北部、双三郡(ふたみぐん)にあった旧村名(布野村(そん))。現在は三次市(みよしし)布野町地区。2004年(平成16)、三次市および甲奴(こうぬ)郡の甲奴(こうぬ)町、双三郡の吉舎(きさ)町、三良坂(みらさか)町、三和(みわ)町、君田(きみた)村、作木(さくぎ)村と合併して三次市となる(なお、この合併で双三郡は消滅)。旧布野村は三次市街地の北に位置し、北は島根県と接する。江の川(ごうのかわ)の支流布野川が南流し、それに沿って国道54号が走り、赤名トンネルを越えて島根県へ通じている。中心の上(かみ)布野は古くから出雲(いずも)街道に沿う宿駅として栄えた。中国山地にあって高冷地のため水田単作地帯が多く、酪農、牧牛も行われ、林業も盛ん。しかし、兼業化率は90%を超えている。上布野の松雲寺の石造五輪塔、知波夜比売(ちはやひめ)神社の銅製鰐口(わにぐち)は県指定重要文化財。村内には100余の古墳がある。
[北川建次]