上野王子跡(読み)うえのおうじあと

日本歴史地名大系 「上野王子跡」の解説

上野王子跡
うえのおうじあと

[現在地名]御坊市名田町上野

上野の集落の南はずれ、浜辺からわずか二〇メートルほどの地に王子跡の標柱がある。しかし、この地は江戸時代に王子が移されたところで、旧地は少し北の山手であったという。熊野九十九王子の一で、「後鳥羽院熊野御幸記」建仁元年(一二〇一)一〇月一一日条に、塩屋しおや王子(現御坊市)参拝後に「次うへ野王子野径也」とあるのが初見。しかし「中右記」天仁二年(一一〇九)一〇月二〇日条には、熊野参詣の途中上野坂上で祓をしたことがみえるので、この頃には王子勧請の兆しがあったと考えられる。四辻殿御記(民経記)承元四年(一二一〇)四月二六日条には「上野有御歩、於王子近辺乗御々輿御参王子、国司海辺構小屋儲御小養、然而日斜之間入御被略、仍人々不被立入」と記す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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