下し(読み)クダシ

デジタル大辞泉 「下し」の意味・読み・例文・類語

くだし【下し】

下し薬」の略。「下しをかける」
くだすこと。申し渡すこと。
「これ、まのあたりにて参らせよ、と侍りつる―の侍りつれば」〈宇津保・国譲下〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「下し」の意味・わかりやすい解説

下し/卸し (おろし)

ダイコンワサビなどをすりおろしたもの。おろしダイコンは薬味のほか,あえ物,汁,煮物などに用い,みぞれあえみぞれ仕立てなどとも呼ぶ。おろしワサビは薬味として刺身などに添えたり,しょうゆや酢と合わせてあえ物に使う。おろしは古くから行われていたと思われるが,文献上に見られるのは室町後期の《庖丁聞書》あたりからである。おろしをつくる器具は《日葡辞書》に〈Daicon voroxi〉というのが見えるが,ほかではおおむね,わさびおろしと呼ばれている。山東京伝の《近世奇跡考》と斎藤月岑(げつしん)の《江戸名所図会》は,青砥藤綱(あおとふじつな)が使用したと伝えられていたものを〈古代山葵擦〉として紹介しており,これがおろし金以前の器具かと思われる。今のようなおろし金は《和漢三才図会》(1712)に見られる。銅製の小さなちり取り状のもので,表には小さいとげを立ててワサビ,ショウガ,ツクネイモなどをおろし,裏はあらいとげを立ててダイコンをおろすとし,これも〈薑擦〉と書いて〈わさびおろし〉と読ませている。西洋ではおろしにすることが少なく,器具もチーズおろしくらいである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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