国指定史跡ガイド 「下田原城跡」の解説
しもたばるじょうあと【下田原城跡】
沖縄県八重山郡竹富町波照間(はてるま)にあるグスク(城)跡。八重山諸島の波照間島にあり、琉球王国統一の歴史を示す重要な遺跡で、戦災などの被害を受けていないため状態も良好であることから、2003年(平成15)に国の史跡に指定された。八重山諸島では12世紀末になると、農耕社会の発達と中国を中心とした海外交流の活発化などで指導者層が現れ、1500年に波照間島出身のオヤケアカハチが起こした乱によって琉球王国の支配下に置かれるまでは、群雄割拠の時代が続いた。島内には、この時代のものと推定される遺跡が点在し、この城跡もその一つで、島北部の大泊浜に近い標高約25mの崖上にある。遺跡からは15世紀から16世紀にかけての中国の青磁器片が出土していることから、この時期にはすでに築城されていたものと推定されているが、築城の正確な年代や詳細は不明。城の規模は東西150m、南北100m。崖上に野積みの珊瑚石灰岩で造られた城壁に囲まれ、8つの郭(くるわ)状遺構を形成する。遠見台、石室、井戸などの跡も残っている。波照間港から徒歩約15分。