不けん化物(読み)ふけんかぶつ(その他表記)unsaponifiable matter

日本大百科全書(ニッポニカ) 「不けん化物」の意味・わかりやすい解説

不けん化物
ふけんかぶつ
unsaponifiable matter

油脂あるいはろうの成分のうち、水酸化カリウムアルコール溶液によりけん化されず、水に不溶、石油エーテル可溶物質をいう。主成分は一般に炭化水素ステリンである。通常、油脂中約0.5%程度存在する。脂肪族炭化水素はサメ肝油中に存在し、スクアレンは不飽和炭化水素である。ステリンは26~30炭素原子をもつ結晶アルコールである。コレステリンは動物油脂中、シトステリンは植物油脂中に存在する。直鎖一価アルコールは、ろう中および油脂の不けん化物中に、ある種の二価アルコールは海産動物油の不けん化物中にグリセリルエーテルとして存在する。

[福住一雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

栄養・生化学辞典 「不けん化物」の解説

不けん化物

 油脂やろうをアルカリ液で加水分解し,水に溶ける部分を除いたときに得られる物質.ステロール,色素脂溶性ビタミンなどがこの分類に入る.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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