不知行(読み)ふちぎょう

精選版 日本国語大辞典 「不知行」の意味・読み・例文・類語

ふ‐ちぎょう‥チギャウ【不知行】

  1. 〘 名詞 〙 領地支配の権利があるのに、実際はその権利を行使しないこと。当知行に対する語。特に、中世土地などの不動産物権を所有していても、何らかの理由によってその物権を行使することができない状態をさす。鎌倉幕府法では不知行二〇か年である所領についての権利が消滅する年紀法が認められていた。〔御成敗式目(1232)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の不知行の言及

【知行】より

…この時代には,近代法にあるような抽象的な所有権の観念がなく,ひとびとは〈○○職が何某の所有権に属する〉とか〈○○職について何某が所有権をもっている〉とかいういい方はせず,〈何某が○○職を知行する〉〈何某が知行する○○職〉と表現した。ある職の帰属をめぐって,現実の知行者=〈当知行〉者(A)と取り戻そうとする者=〈不知行〉者(B)との間に紛争が起きたとき,Bは〈Aの知行には由緒がなく,自分に知行すべき由緒がある〉という趣旨の請求をし,Aは〈自分の知行には由緒がある〉と反論して争い,裁判所は〈A(またはB)が知行すべきである〉という判決を下すのが一般的であった(年紀法)。ちなみに近代法においては,〈Aは(占有しているが)所有権者ではない,自分Bこそが所有権者である〉〈いや,自分Aこそが所有権者である〉という形の主張が対立することになる。…

※「不知行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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