世界人口65億人突破(読み)せかいじんこう65おくにんとっぱ/せかいじんこうろくじゅうごおくにんとっぱ

知恵蔵 「世界人口65億人突破」の解説

世界人口65億人突破

国連人口部の推計によれば、世界人口は2007年7月1日では66億7123万人であるが、50年には91億9129万人となり、前回の国連推計から少し上方修正された。背景には、発展途上国での死亡率の改善に加え、エイズ罹患(りかん)率の減少傾向が影響している。また、先進地域と開発途上地域に分けて見ると大きな違いが存在。2007年では先進地域における人口は12億2300万人で、今後43年間はこの規模で大きく変化しないものの、46カ国(日本、ドイツ、イタリアロシア連邦など)で50年までに人口減少局面に突入すると考えられる。しかし開発途上地域は、54億4800万人から43年間で79億4600万人へと増加する。先進地域と開発途上地域の人口比は現在1対4であるが、50年では1対6となり、21世紀における南北問題は20世紀よりも一層厳しいものになる可能性がある。開発途上地域では、アフリカが最大の人口増加率を見せており、今後43年間でアフリカの人口シェアは14%から22%へと急増、この地域での開発にとって大きな障害となりそうだ。また、07年で世界人口の60%のシェアを持つアジア人口の動向も重要。特に、世界最大の人口を抱える中国が、07年の時点で13億2863万人であるのに対し、インドは12億人を少し下回っているが、一人っ子政策が推進されている中国は27年頃にインドに逆転される可能性が高い。

(小川直宏 日本大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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