改訂新版 世界大百科事典 「丘上都市」の意味・わかりやすい解説
丘上都市 (きゅうじょうとし)
hill town
town of acropolis site
主として外敵の攻撃を防御するため,丘陵上に建設された都市で,ふつう2種類に分けられる。第1は〈アクロポリス位置の都市〉と呼ばれ,アテネのアクロポリスのように,聖所ないし防御施設が丘頂に築かれ,住民の集落は斜面あるいは低地に建設された。ギリシア人による植民の時代,ゲルマン人やスラブ人の中世の都市にはこれが多い。エジンバラ,ハイデルベルク,プラハなどはその例である。日本の初期の城下町も,たとえば山城と散下(さんげ)(山下)集落など,このタイプが多かった。第2は,少なくとも形成初期の時代に,全体が丘陵上に建設された都市である。旧ユーゴスラビアのベオグラード,スペインのセゴビア,イタリアのサンマリノなどである。この種の都市は,一般に地中海沿岸に多く,低湿地のカによるマラリア伝染の防御も一つの要因であった。これらとは要因は別であるが,最近日本に多い郊外都市,たとえば千里ニュータウンや多摩ニュータウンも,丘上都市に含められるであろう。
執筆者:斎藤 光格
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報