両巴巵言(読み)りょうはしげん

改訂新版 世界大百科事典 「両巴巵言」の意味・わかりやすい解説

両巴巵言 (りょうはしげん)

洒落本。撃鉦(どらうつ)先生作。鳥居清信画。1728年(享保13)刊。1冊。作者は漢学書生か遊女屋の主人などかと想像される。書名は色邑(いろざと)についての味わうべき巵(さかずき)の言の意。まず大人(たいじん)先生なる者が,吉原に遊んだ見聞情景遊興のさま,風俗,おもな遊女名寄(なよせ)などを漢文体で叙述し,つぎに吉原の図,遊女の姿絵を出し,最後に吉原の遊女屋と遊女名とを詳細に記した〈吉原細見さいけん)〉が置かれている。本書は享保10年ごろから出始めた〈吉原細見〉の特殊なものと見られるが,細見部分以外の漢文体の描写などが,やがて洒落本として独立した形態をそなえてゆくものとして,洒落本の最初の作品とされる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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