名寄(読み)なよせ

精選版 日本国語大辞典 「名寄」の意味・読み・例文・類語

な‐よせ【名寄】

〘名〙
名所の名や物の名称などを寄せ集めること。また、そのもの。
筑波問答(1357‐72頃)「古今以来代代の撰集・名所のなよせなどやうの物を、常に見給ふべきにこそ」
高野山文書‐正元元年(1259)九月日・阿氐河下庄公文紀光澄申状「するかの公の大けんちうに、取帳と申、名よせと申候」

なよろ【名寄】

北海道北部の地名。名寄盆地の中心都市。明治三三年(一九〇〇)山形県人の集団入植に始まる。稲作、野菜栽培、酪農が行なわれ、乳製品パルプなどを生産。昭和三一年(一九五六市制

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デジタル大辞泉 「名寄」の意味・読み・例文・類語

なよろ【名寄】

北海道北部の市。名寄盆地の商業中心地。糯米もちごめの生産や酪農が盛ん。珍石の鈴石高師小僧を産し、いずれも天然記念物。平成18年(2006)3月風連ふうれん町と合併。人口3.1万(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「名寄」の意味・わかりやすい解説

名寄[市] (なよろ)

北海道北部の市。2006年3月旧名寄市と風連(ふうれん)町が合体して成立した。人口3万0591(2010)。

名寄市北部の旧市。1956年市制。人口2万6590(2005)。名寄盆地の中心地で,天塩川と支流名寄川の合流点に市街が発達する。地名はアイヌ語の〈ナイオ・プトゥ(名寄川の口)〉に由来する。1900年士別~名寄間の道路が開通し,山形県人らの集団移住により開拓が始まった。03年鉄道(現,JR宗谷本線)が旭川から名寄まで開通,農産物や木材を鉄道によって本州や道央・道南の市場に供給できるようになった。その後木材・木製品,食料品などの製造業が盛んになった。国道40号,239号線が通る。米,ジャガイモ,テンサイ,野菜などをおもに産し,酪農も行われる。市街地近くに国立衛生試験所北海道薬用植物栽培試験場(現,独立行政法人の医薬基盤研究所薬用植物資源研究センター北海道研究部)がある。北東ピヤシリ山(987m)は頂上のハイマツの群生利尻富士,大雪連峰の雄大な眺めで知られる。名寄高師小僧(天),名寄鈴石(天)などの石を産する。

名寄市南部の旧町。上川支庁の旧上川郡所属。人口5038(2005)。地名はアイヌ語の〈フレ・ペッ(赤い・川)〉に由来する。名寄盆地中央部を占め,JR宗谷本線,国道40号線が通じる。最初に入植が行われたのは1898年ころといわれるが,本格的な開拓は鉄道(宗谷本線)が南に接する士別まで開通した1900年以降である。明治末期には灌漑・排水事業により泥炭地の水田化が行われた。米作が主体であるが,ユリ根,ジャガイモ,タマネギなどを多く産する。町域西部に雨竜発電所がある。
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名寄 (なよせ)

一般に人や物や所などの名をある類別に従って集め記したものをいう。《枕草子》《尤草紙(もつとものそうし)》や,歌謡などに見られる〈物づくし〉〈物ぞろえ〉に形式的には類似するが,名寄は,ある分野の名称についての知識を集成するという目的で作られ,実用的なものが通常であると思われる。歌枕を集めた書に,《歌枕名寄》,《大名寄》(《類字名所和歌集》),《小名寄》(《名所類字和歌》)などの称があり,また,能狂言の曲名を列記したものを能名寄,謡名寄,狂言名寄などといい,《旧謡いろは名寄》《謡名寄》などの書名のものがある。人名についても,《誹諧作者之名寄》などと用いられている。なお,中・近世の,地主とその占有する田畑の反別などを記した名寄帳のことも省略して名寄という。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「名寄」の意味・わかりやすい解説

名寄
なよせ

名寄ということばは名称の羅列という意味で、一般的に名所名寄、美人名寄などと使うが、能楽用語では、能および狂言における曲目一覧表をいう。能名寄、謡名寄、狂言名寄などがあり、曲柄順、五十音順、入門・大習(おおならい)・一子相伝といった稽古(けいこ)の段階順、謡本の組合せ別、作者別など、各種分類されているのが普通である。江戸時代には、幕府あるいは藩主に対する各流のレパートリーの申告書であった。現代の上演曲目は入場税の関係で税務署に届けられるために、申告以外の曲目、たとえば世阿弥(ぜあみ)時代の古い曲の復元や新作能の上演には、重要無形文化財指定の出演者を網羅した場合の免税特典もなくなり、他の古典芸能より厳しい扱いを受けている。

[増田正造]

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