電気工学において、複数の電源、回路素子などを横一列につなぐことをいう。この場合、すべての素子の両端の電圧が等しくなる。直流回路においては抵抗器が並列に接続されると、全体のコンダクタンス(これを合成コンダクタンスとよぶ)は、各抵抗器のコンダクタンスの和となる。たとえば、それぞれの抵抗器のコンダクタンスの値がG1、G2、……、Gnジーメンスのn個の抵抗器を並列に接続したときの合成コンダクタンスGtジーメンスは、Gt=G1+G2+……+Gnとなる。したがって、それぞれ抵抗値がR1、R2、……、Rnオームのn個の抵抗器を並列に接続したときの合成抵抗Rtオームは、1/Rt=1/R1+1/R2+……+1/Rnで与えられる。直流電源を並列に接続するのは、普通各電源の起電力および内部抵抗が等しいときに限られる。この場合は、合成電圧は各電源単独の電圧と同じであるのに対し、電流容量は増えるので、取り出しうる電力が増える。交流回路においては、回路素子が並列に接続されると、合成アドミタンスは各回路素子のアドミタンスの和となる。ただしこの場合、各アドミタンスおよび合成アドミタンスとも複素数(実数と虚数単位で表される数)表示された量である。たとえば、各アドミタンスの値が1、2、……、nジーメンスのn個のアドミタンスを並列に接続したときの合成アドミタンスtジーメンスはt=1+2+……+nジーメンスとなる。したがって、各インピーダンスの値が、Ż1、Ż2、……、Żnオームのn個の回路素子を並列に接続したときの合成インピーダンスŻtオームは、1/Żt=1/Ż1+1/Ż2+……+1/Żnで与えられる。
交流電源を並列に接続するのは、実用上各電源の起電力、内部インピーダンスおよび周波数が等しいときが多く、この場合の合成電圧は各電源単独の電圧と同じであるのに対し、電流容量が増えるので取り出しうる皮相電力および電力が増える。しかし、直流電源の並列接続のときと異なり、各電源の位相を調整してあわせる必要がある。
並列接続に対して、複数の電源、回路素子などを縦一列につなぐことを直列接続という。
[布施 正・吉澤昌純]
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