デジタル大辞泉 「布施」の意味・読み・例文・類語
ふ‐せ【布施】
1 六波羅蜜の一。施しをすること。金品を施す
2 僧に読経などの謝礼として渡す、金銭や品物。「
島根県北部、隠岐郡(おきぐん)にあった旧村名(布施村(むら))。現在は隠岐の島町の北東部を占める地区。2004年(平成16)西郷町(さいごうちょう)、五箇(ごか)、都万(つま)の2村と合併、隠岐の島町となる。旧布施村は隠岐諸島島後(どうご)北東部に位置し、国道485号が通じる。享保(きょうほう)年間(1716~1736)藤野孫一(ふじのまごいち)ら村役人により始められた杉の植林事業は北前船の発展と相まって巨利をもたらし、植林地は全域に拡大した。現在も旧村域の95%が林野である。木工品の製作やサザエ漁が行われる。浄土ヶ浦など屈曲に富む海岸は隠岐布施海岸として国指定名勝で、大山(だいせん)隠岐国立公園の特別保護地区に指定されている。浄土ヶ浦海域公園もある。
[江村幹雄]
『『隠岐布施村の林業』(1963・布施村)』▽『『布施村誌』(1986・布施村)』
大阪府中東部、東大阪市の一地区。旧布施市。旧大和(やまと)川の本流の長瀬川流域の低湿地。地名は、行基(ぎょうき)が飢えに苦しむ人々のために布施屋を設けたことに由来する。水害に苦しめられていたが、18世紀初頭、旧大和川の付け替え後新田が開発され、河内木綿(かわちもめん)の産地となった。大正期に現近畿日本鉄道奈良線や大阪線が通じ、撚糸(ねんし)、鋳物、ゴムなどの零細企業から、ミシン、車両など中小規模の金属・機械工業が発達した。布施駅周辺に商店街が形成されている。一方、旧自然堤防上には近畿大学などの学校が設置され、市の中心となった。大阪中央環状線(府道2号)とそれに重なる近畿自動車道が開通し、金物団地が形成されている。
[安井 司]
『『布施市史』全4巻(1962~1967・布施市)』
サンスクリットdānaの訳で,音訳は檀那である。両語を合わせて檀施ということがあり,布施する者を檀那,檀越(だんおつ),檀家ということもある。仏や僧や貧窮の者に衣食を施与することで,仏道修行では無欲無我の実践である。したがって正覚を開くための六波羅蜜の一つにかぞえられる。キリスト教の愛にあたるのが仏教では慈悲であるが,慈悲の実践は布施と不殺生である。日本仏教でも布施はよくおこなわれ,法要があればかならずその後で貧窮者への施しがなされた。今日,葬式のあとで粗供養を出し,銭まきをするなどはこれで,僧侶だけに与えるのを布施というのはその変化である。これに対して,僧侶が経を読み説経するのを法施という。
執筆者:五来 重
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…大阪府東部,大阪市の東に隣接する市。1967年布施市(1937市制),河内(かわち)市(1955市制),枚岡(ひらおか)市(1955市制)が合体,改称。人口51万7232(1995)。…
…サンスクリットdānaの音訳で,布施の意。梵語と漢語を合わせて檀施とも記す。…
…福徳を生み出す田地の意。田に種子をまくと収穫があるように,仏,僧,父母,貧窮者などに布施すると,未来に功徳が得られるとして,布施する対象を福田といった。三福田(敬田,恩田,悲田)とか八福田など,その数え方はさまざまであるが,なかでも重要なのは,苦しみ悩む者(悲田)の救済事業であって,悲田養病坊,悲田院などが設けられた。…
※「布施」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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