中尾峠(読み)なかおとうげ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中尾峠」の意味・わかりやすい解説

中尾峠
なかおとうげ

長野県松本市と岐阜県高山市の県境にある峠。北アルプス焼岳(やけだけ)の北側の鞍部(あんぶ)で、標高2100メートル。信濃(しなの)(長野県)松本盆地飛騨(ひだ)(岐阜県)や越中(えっちゅう)(富山県)を結ぶ重要な峠で、古代には両国の国府高山(岐阜県)と松本を結び、中世から近世にかけても両国の物資の交流が盛んであった。1915年(大正4)の焼岳大噴火でふさがれ、北へ300メートルほどの位置に新中尾峠ができ、現在旧中尾峠を越えるルートは、岐阜県側から焼岳小屋を経由しないで焼岳に登頂するためのショートカットコースに利用される。峠からは南の焼岳、眼下の大正池をはじめ上高地(かみこうち)の全容が大観できる。

[小林寛義]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の中尾峠の言及

【峠】より

…針ノ木峠(2541m),ザラ峠(2353m)は,それぞれ後立山,立山山脈中の鞍部であり,1584年佐々成政の両峠越えで名高い。上高地西の中尾峠(2080m),東の徳本(とくごう)峠(2135m)は天保年間(1830‐44)から飛驒街道が通っていたところであり,梓川沿いの道路が1933年開通するまでは上高地への入山者はたいていここを通った。 内外の著名な峠は,いずれも歴史的な意味をもつか眺望にすぐれているかであり,人文活動と山との目だった接点ともいえる。…

※「中尾峠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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