中村廃寺
なかむらはいじ
熊野社境内に塔心礎があり、周囲から布目瓦が出土する。塔心礎は長径一・六七メートル、短径一・一メートルで、上部平坦面に直径四二センチ、深さ六センチの心柱を納める
穴が刻まれる。周辺から平安中頃の布目の残る平瓦・軒平瓦・丸瓦・軒丸瓦・鬼瓦などが出土するので、古代寺院に付属する三重塔が存在したことは明らかである。寺院は十三部台地の南斜面を利用し、南面して所在したと推定されるが、ここ以外からは布目瓦の出土はみないので、塔のみが瓦葺で他の建物は茅葺であったと推定される。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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