建物の大棟や降り棟の端(はな)を飾る瓦。このため,棟端飾板の名もある。8世紀以降,建物の安穏を祈り鬼面を飾ったものが主として用いられたため,鬼瓦の名称が一般的で,鬼板とも呼ぶが,7世紀代には蓮華文で飾った。日本最古の鬼瓦は法隆寺若草伽藍のもので,複数の単弁8弁蓮華文を焼成前に彫刻している。文様構成は百済時代のものに似る。8世紀から13世紀までの鬼瓦は,まだ半肉彫風で立体感に乏しい。角をもった鬼は14世紀以降に広まるが,10世紀半ばにもわずかながら見受けられる。現在では鬼面の鬼瓦は少ないが,足元を大きく作るところに遺制が見られる。鬼面文は,本来中国からの影響であろうが,中国の鬼瓦は明確でない。直接日本に連なるのは新羅の鬼瓦である。鬼瓦の下辺は半円形にえぐるが,これは棟をまたがせるためで,隅棟の鬼瓦は両端もえぐる。瓦面に釘孔と称する孔をうがったり,背面に鈕を作ったりするが,いずれも金具で引っ張って棟へとめるための細工である。
執筆者:森 郁夫
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屋根の頂にある大棟(おおむね)の両端や降棟(くだりむね)・隅棟(すみむね)の端に飾られる瓦。表面に鬼面がつけられるので鬼瓦という。中国や朝鮮、日本で古くから魔除(まよ)けとしてつけられてきた。わが国の7世紀の鬼瓦は、鬼面がつかずに蓮華文(れんげもん)が飾られるのが一般的であったが、8世紀からは鬼面のつくものが主流を占める。近世になると、鬼面のかわりに家紋や桃などの植物で飾られるものが多い。建物の大棟両端には、古代には鴟尾(しび)(鮪(まぐろ))がのせられるのが正式であった。また瓦葺(かわらぶ)きの屋根と違って、檜皮(ひわだ)葺きや杮(こけら)葺きの屋根では大棟の両端には鬼瓦でなく、獅子口(ししぐち)を飾ることが多い。この獅子口には、鬼瓦と違って上端に経の巻(きょうのまき)とよばれる筒状の飾りがつく。近世の城郭建築では、鴟尾のように鯱(しゃち)が大棟に飾られるが、下に鬼瓦も併用されている。
[工藤圭章]
狂言の曲名。大名狂言。領地争いの訴訟のため長期在京中の田舎(いなか)大名(シテ)が、すべてうまくかたづいたので、太郎冠者(たろうかじゃ)を連れて日ごろ信仰する因幡薬師(いなばやくし)へお礼参りにやってくる。帰ったら御堂(みどう)を建立し薬師如来(にょらい)をお招きしたいものと、参考に建物のあちこちを見て回るうち、大名がふと屋根の鬼瓦に目を留め、国元に置いてきた女房の顔そっくりだとおいおい泣き出す。もうすぐ会えるではないかという太郎冠者の慰めに気を取り直し、2人でめでたくどっと笑って終曲。これといった筋立ても機知に富んだ会話もないが、大名の温かい心根がほのぼのと伝わってくる愛すべき小品である。
[油谷光雄]
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…7世紀末葉から8世紀にかけて日本に少なからず影響を与えている。また,各種の道具瓦が作られるようになり,鬼瓦が作られるのもこのころのことである。高麗初期のものは新羅の系統を引くものであるが,しだいに簡単な文様に変わる。…
※「鬼瓦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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