六訂版 家庭医学大全科 「中耳腫瘍」の解説
中耳腫瘍
ちゅうじしゅよう
Middle ear tumor
(耳の病気)
どんな病気か・症状の現れ方
中耳にできる腫瘍で、比較的まれな病気です。症状は腫瘍が大きくなるまで出にくく、耳鼻咽喉科を受診してたまたま発見される場合や、難聴、耳鳴り、耳の違和感、顔面神経のけいれんや麻痺などの症状があって見つかることもあります。
検査と診断
診断には、顕微鏡で
腫瘍が
中耳腫瘍は小さな腫瘍ですが、最近はMRI検査で非常に小さなできものを映し出すことが可能になり、腫瘍の性質が判断できます。以下に代表的な腫瘍について説明します。
①
顔面神経は、脳から耳の骨のなかを通過して顔の筋肉へ達します。神経の腫瘍ができる場合には中耳を通過する部分にできることが多く、難聴が初発症状の場合があります。進行すると顔面の動きが悪くなる顔面神経麻痺が起こります。
②グロームス
血管の音が聞こえる拍動性耳鳴りは、ほとんどの場合は頸動脈の音が聞こえているだけで心配はありません。
しかし、ごくたまにグロームス腫瘍や血管腫による症状の可能性があり、注意が必要です。大きくなると鼓膜の内側に赤褐色のできものが見えることもあります。非常に血液の流れが多い腫瘍で、手術は慎重に行われます。
その他の良性腫瘍には、カルチノイド腫瘍、
病気に気づいたらどうする
中耳腫瘍は発生頻度が低く、鑑別診断も難しい病気です。耳の専門医を受診しましょう。
池園 哲郎
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報