中観(読み)チュウガン

デジタル大辞泉 「中観」の意味・読み・例文・類語

ちゅう‐がん〔‐グワン〕【中観】

天台宗でいう三観の一。三千諸法の一つ一つが絶対であることを直観すること。中諦ちゅうたいの理を観じ、中道の理を明らかにすること。

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精選版 日本国語大辞典 「中観」の意味・読み・例文・類語

ちゅう‐がん ‥グヮン【中観】

〘名〙 仏語。天台宗でいう三観の一つ。中諦(ちゅうたい)の理を観じ、中道の理を明らかにすること。〔仁王護国般若経疏‐二〕

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「中観」の解説

中観(ちゅうがん)
mādhyamika

インド大乗仏教の重要な思想で,これにもとづく中観派は唯識(ゆいしき)学派とともに大乗二大学派を形成した。すべての存在は諸原因が集まって仮に生起したものにすぎず(=縁起(えんぎ)),それ自体に固有の実体はない(=無自性(むじしょう))とする『般若経』(はんにゃきょう)の「空(くう)」思想にもとづき,一切の執着を捨て有無などの極端な考えを離れるべきである(=中道)と説く。ナーガールジュナ(竜樹(りゅうじゅ))によって説かれ,アーリヤデーヴァ(聖提婆,170~270頃)が継承し,ブッダパーリタ(仏護,470~540頃)のプラーサンギカ(帰謬(きびゅう)論証派)とバヴィヤ(清弁,490~570頃)のスヴァータントリカ(自立論証派)に分派したとされる。中国で成立し日本に伝わった三論宗は,竜樹の『中論』『十二門論』,聖提婆の『百論』を研究する学問であり,中観派の系列に属する。

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